1 はじめに
レンタルサーバーのメールサーバーを利用されている皆さんは、
「迷惑メール」の処理をどうされているのでしょうか?
ほとんどの方が、レンタルサーバーの「メール振り分け機能」で
「迷惑メール」を排除するということはやっていないと思います。
なぜなら、
送信者名や、送信元のドメイン名やIPアドレスを次々に変えて送ってくるからです。
振り分け設定なんてしようがないんじゃないかと、思ってしまいますよね。
本記事は、
そんな機能の高いとは言えないレンタルサーバーの「メール振り分け機能」で、
迷惑メールを自動的に削除する方法をお伝えするものです。
この方法を使えば、ローカルPCに「迷惑メール」を受信することはありません。
本記事が示す方法には、
次のような条件があることを初めに述べておきます。
① 日本以外の海外とのメール送受信はほとんどない
② 日本国内発信の「迷惑メール」に適用は難しい
「迷惑メール」の発信元は、多くが海外です。
①の方であれば、本記事の方法適用で被る不都合はほとんどありません。
なお、本記事の「メール振り分け機能」は、Xserver場合で示しています。
他のレンタルサーバーの場合、設定の方法は異なると思いますが、
本記事の「メール振り分け」による迷惑メール排除方法の考え方は
参考になるのではないかと思います。
2 発信元の情報を収集し整理する
まず、やらなければならないのは、ヤツらの次の情報を集めることです。
① 本当のメール発信元IPアドレス
② 利用した通信会社とその会社が付与するIPアドレスの範囲
たくさん集まれば、規則性が見えてきます。
ちなみに、
発信元IPアドレスがくるくる変わっているように見えますが、
利用している通信会社は一つで、複数の通信会社を利用しているケースは多くないようです。
わたしが作成している下に示すページの一覧表を、参考として見てください。
2.1 ヤツらの発信元IPアドレスの見つけ方
迷惑メールの発信元IPアドレスは、次のツールを使って見つけます。
Microsoft Message Header Analyzer
受信したメールのメールヘッダーを、「Paste headers here.」のフィールドに貼り付け、
「Analyze headers」をクリックします。
メールヘッダーの見つけ方は、下に示すサイトの4章を参考にしてみてください。
メールヘッダーの解析結果が、図2.1-2のように表示されます。
「Hop 1」の「Submitting host」に、発信元のIPアドレスがあります。
Hopが複数行ある場合がありますが、「Hop 1」が発信元のホスト情報です。
2.2 利用した通信会社とその会社が付与するIPアドレスの範囲
発信元が利用した通信会社とその会社が付与するIPアドレスの範囲は、
2.1節で見つけたIPアドレスをキーに"Whois"検索をすれば、直ぐに見つかりますが、
本記事では別の方法を示します。
発信元IPアドレスがくるくる変わっているように見えますが、
利用している通信会社一つで、複数の通信会社を利用しているケースは多くないようです。
下に示すツールを使います。
ツールに2.1節で見つけたIPアドレスを入力して検索すると、
図2.2-1に示すような検索結果が表示されます。
赤枠で囲った「IP whois情報」をクリックすると、「Whois」情報のページが開きます。
「inetnum」が、 その通信会社が利用者に付与するIPアドレスの範囲(IPアドレスのブロック幅)です。
「netname」が通信会社のネットワーク名です。
通信会社が、
このページに表示される「IPアドレスのブロック幅」以外の
IPアドレスのブロック幅を持っている場合があります。
この場合は、別のIPアドレス検索で、異なるページに表示されます。
「netname」で、同一の通信会社かどうかを識別するのに利用します。
3 「メール振り分け」で迷惑メールはゴミ箱行き
2章で収集した迷惑メールの情報より、
迷惑メールは、次の2つの要素でフィルタリングできることがわかってくるかと思います。
(1) 発信元IPアドレス (2) 発信元タイムゾーン
レンタルサーバーの「メール振り分け機能」にその設定を行います。
本章第1節で、
レンタルサーバーでのIPアドレスによる迷惑メール「メール振り分け」設定を示します。
本章第2節では、
「発信元タイムゾーン」によるメール迷惑メール「メール振り分け」の設定を示します。
「発信元タイムゾーン」での迷惑メール「メール振り分け」は、効果が絶大です。
迷惑メールの発信元は、日本国内よりも海外、それも特定の国がとっても多いからです。
少ない設定で、多数の迷惑メールを排除できるようになります。
本記事では、Xserver場合での設定を示しますが、
他のレンタルサーバーであっても、この設定方法は参考になるのではと思っています。
3.1 IPアドレスによる迷惑メール振り分け
条件1の「キーワード」は、通信会社が付与するIPアドレスブロックの固定部分に、
図3.1-1で示すように先頭に"["の文字を付けて設定します。
"["の文字は、ここからIPアドレスが始まりますよ、という記号です。
多くの通信会社のIPアドレスブロックは、先頭2バイトが固定で、
3バイト目、4バイト目が自由に割り振られるなっていますが、
中には3バイト目は複数のネットワークで分けている場合があるようです。
2バイト目も、複数の通信会社で分けられている場合もあります。
問題の無いIPアドレスブロックを除外しないように、
設定するIPアドレスは、
IPアドレスの先頭から2バイト目までか3バイト目までの固定部分の値を
設定するようにすると良いでしょう。
条件2は、図の通りに設定します。
発信元のIPアドレスは、「Received: from」で始まる行にあるからです。
この設定したブロックのIPアドレスからのメールは全て棄てられてしまいますが、
そもそも迷惑メール発信国とのメール送受信は無いはずですから、
ブロックごと棄ててもなにも問題はありません。
ただし、迷惑メール発信元が日本であった場合、
同一IPアドレスブロックのメールは全部受信できなくなりますから、
この方法の適用は難しいですね。
そのIPアドレスブロック内には、
無問題なホストが多数あることが容易に想像できます。
図3.1-2は、
C国の通信会社"Baidu"の一部のIPアドレスブロックからのメールは、
全て「ゴミ箱行き」行きにするという設定例です。
Baidu発の迷惑メールがとっても多い!
下に示すIPアドレスからのメールは、
レンタルサーバー側で全て排棄されてしまいますから、
メールクライアント・ソフトでそれらのメールを読み込むことはありません。
106.12.0.0/16
106.13.0.0/16
120.48.0.0/16
120.49.0.0/16
3.2 タイムゾーンによる迷惑メール振り分け
送信元のタイムゾーンは、メールヘッダー「Date:」の行を見ればわかります。
「UTC(協定世界時) ± 0000(時2桁、分2桁の計4桁の数字)」の形で表せられます。
日本は、「UTC +0900」です。 迷惑メール発信が多い中国は、「UTC +0800」です。
下に示すサイトにタイムゾーン一覧がありますので、ご覧になってみてください。
図3.2-1は、
「UTC +0800」の国、つまり中国、台湾、シンガポール、モンゴルなどからのメールは、
ゴミ箱行きであるという設定です。
ちなみに、
「件名が[SPAM]から始まる」は、Xserver
による事前のSPAMチェック
(SpamAssasin)で、
[SPAM]と判定されたら、ということを意味しています。
以上
HTMLだと、
思うように編集することは難しく、やろうすればとっても時間が掛かります。
ですので、本記事の元となっているWordで作成したPDFを
ページ最後に貼り付けました。
役に立てていただければ、うれしく思います。
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